遺族厚生年金の短期要件と長期要件

 遺族厚生年金の支給要件は短期要件と長期要件の大きく2つに分けることができます。その中でもいくつかのパターンに分かれます。

短期要件:①被保険者が死亡したとき
     ②被保険者であった人が資格喪失後に、
      被保険者であった期間に初診日がある傷病によって
      初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき、
     ③障害等級1級もしくは2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき

長期要件:④老齢厚生年金の受給権者が死亡したとき
     ⑤老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている人が死亡したとき


 ①又は②に該当する場合は、保険料納付要件を満たしている必要があります。つまり、死亡日の前日において、保険料滞納期間が死亡日の前々月までの被保険者期間の中で1/3以下である必要があります(詳細は、「保険料納付要件について」)。



短期要件の場合

短期要件に該当する場合、被保険者期間の月数が300に満たないときがあります。その場合には、300と見なして、遺族厚生年金額が計算されます。
遺族厚生年金額の計算式は、以下のようになっているため、300に満たない場合には300と見なすルールは非常に有り難いものといえます。
遺族厚生年金額=平均標準報酬月額×5.481/1000(定率)×被保険者期間の月数×3/4



長期要件の場合

長期要件に該当する場合は、実際の被保険者期間の月数で計算されます。
老齢厚生年金は厚生年金の被保険者期間が1月であった場合でも受給することができます。したがって、「長期要件」=「短期要件よりも被保険者期間の月数が多い」というわけではありませんので、注意が必要です。
遺族厚生年金額=平均標準報酬月額×5.481/1000(誕生日により率が異なる)×被保険者期間の月数×3/4



両方に該当している場合

 なお、短期要件と長期要件の両方に該当している場合は、遺族が別段の申出をしない限り、短期要件に該当するものとして扱われます。遺族厚生年金として受給できる額は、短期要件の方が多いのかもしくは長期要件の方が多いのか、それぞれ異なりますので精査する必要があります。



複数の年金受給権があるとき

いくつかの年金の受給権がある場合、すべて受給できる場合もあれば、どちらかだけを受給できる場合もあります。そのジャッジは「短期要件」「長期要件」で決められることもあります(詳しくは、「複数の年金受給権があるとき」)。





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